四国中央市の知る人ぞ知る特産品「富郷茶」

四国中央市の知る人ぞ知る特産品「富郷茶」

こんにちは。

今回から「えひめのたね」で記事をお届けすることになりました菊池です。
東京から2017年に四国中央市へ移住し、今年で5年目になりました。
どうぞよろしくお願いいたします。

四国中央市の知る人ぞ知る特産品、"妥協なき生産"で生まれる富郷茶

"妥協なき生産"で生まれる富郷茶

さて、今回は私が住んでいる四国中央市の山間部にある嶺南地区の特産品「富郷茶(とみさとちゃ)」をご紹介しましょう。

嶺南(れいなん)地区は、旧伊予三島市の法皇山脈より南側に位置する「金砂町」と「富郷町」を指す名称です。
金砂湖や富郷ダムなどが有名でしょうか。

春は沿道一面に桜が咲き、夏は川遊びやキャンプ、秋には富郷渓谷の紅葉、冬は薄い雪景色が楽しめる季節豊かな地域です。

嶺南地区の特産品の筆頭はなんといってもお茶です。

四国中央市のお茶といえば、「新宮茶」が有名だと思います。

しかし、もう一つあるんです。

それが富郷茶です。

限られた生産量で市場に出回らない富郷茶は、ゴクゴク飲める甘さが特徴

富郷茶の特徴

富郷茶は、生産量が多くなく、ほとんどが自家消費のため、あまり流通しているところはお目にかかれないかもしれません。
ただ、自家消費がほとんどのため、妥協なき生産がいまでも行われています。

自分の家で使うものには力を入れて生産したくなるからでしょうかね。

特徴は甘味です。

温かいお茶でもそうですが、夏場の水出し緑茶はほのかな甘味がありごくごく飲めてしまいます。
新茶の季節は、道路沿いに植わっている約2万株のあじさいの下草刈りなどの時期でもあり、農作業のお供に欠かせないアイテムです。

さて、そんなお茶ですが、皆さんはどのようにして生産されているかご存じですか。
せっかくですので、生産にも一部関わっている私からご紹介しましようと思います。

富郷茶ができるまで

(1)お茶の木を育てる

お茶摘みの様子はたまにテレビなどでも紹介されるのでご存じの方も多いと思います。
実はお茶の葉っぱを採っているものはお茶の木です。

ちなみに正式には「チャノキ」といい、ツバキの仲間です。
富郷茶はほとんどが「やぶきた」という品種で、日本のお茶の8〜9割はやぶきたといわれています。

お茶の木は放っておくとどんどん成長してしまうので、年に数回剪定をして形を整える必要があります。
お茶を手摘みする場合、ある程度は形は自由にできるのですが、機械で摘む場合は機械の形に合わせて剪定する必要もあり、意外とこれが大変です。

収穫直前の4月頃には、嶺南地区では霜が降りることもしばしばあります。
霜が降りてしまうとお茶の葉が焼けてしまい、使えなくなってしまうため、注意が必要です。

こうして、毎年5月上旬から中旬に収穫の時期を迎えます。

(2)お茶を収穫する

収穫時期になったら朝から大仕事です。

機械で詰む場合は機械を準備し、だいたい3〜5人で一組になり茶畑へ向かいます。
二人用のお茶摘み機を使う場合、お茶の木を挟んで機械を二人で持ちます。
その後ろに収穫用の袋を取り付け、これも別の二人で持ちます。

あとはジャンジャン収穫するのですが、当然袋はどんどん重くなるのである程度の量を収穫したら袋を取り替えます。

ひたすらこれを繰り返し、一気に収穫をします。

というのも、お茶は収穫されるとすぐに発酵が始まって熱を持ってしまうため、製茶をするか発酵を抑制する必要があります。

ほとんどの場合は、半日以内に製茶場へ持っていって製茶作業をしてもらいます。

富郷茶の収穫

富郷茶の場合は、JAうま富郷出張所に製茶場があるので、そこへ持っていきます。

工場も一日で製茶できる量には上限があるので、みんな協力し合って少しずつずらしながら収穫をしています。
機械摘みの場合は1チームで1日300キロくらい(生茶葉換算で)収穫することもあります。

ちなみに手摘みの場合は8人くらいで摘んでも1日100キロくらいがいい所なので、如何に機械の効率が良いかがわかりますね。

その分、茶畑の下準備や機械のメンテも大変ですが。

参考までに、軽トラの荷台にちょっと山になるくらい積載すると大体150キロくらいの生茶葉です。

(3)製茶する

製茶工場に持ち込まれた茶葉はよく見る茶葉の形に製茶されます。

詳細は省略しますが、蒸して冷やして揉んで整えて乾燥させ、選別して火入れをしたら完成です。

富郷茶の製茶

ざっと書きましたが、だいたい6時間くらいかかる上、途中で止めることができません。
午後3時に加工を始めると終わるのが夜の9時というわけです。

昔は交代しながら一晩中機械を回し続けていたと聞きました。

製茶の工程で重さは生茶葉の2割くらいになります。
つまり100キロの生茶葉を持ち込むと20キロのお茶ができあがります。

一般的なスーパーで売っているお茶は1袋100グラムが多いので、それで換算すると200袋分になります。

こうしてお茶になるのですが、このあと、製茶時には取り除けなかった小さい枝などをピンセットで一つずつ取り除く気の遠くなるような作業も待っています。
これをやるかどうかで味がだいぶ変わるそうです。

こうして、収穫から製茶まで実にかかっても2日というスピードでお茶ができあがります。

製茶したばかりのお茶よりも、実は2〜3ヶ月寝かせたお茶の方が良い味になるとお茶農家さんがおっしゃっていました。

あとは飲むだけです。

富郷茶の美味しい飲み方

富郷茶の美味しい飲み方

急須はお持ちですか?

もし持っていなければ、ホームセンターなんかで売っている安いもので良いのでぜひご購入をお勧めします。

それからお茶は沸騰した手のお湯で入れると苦みが出るので、大体70度くらいのお湯で入れると良いです。

いったん沸騰させてから、急須→湯のみ→急須といった感じで移すと良い温度になりますよ。

1杯目は急須にお湯が残らないように全部注ぎましょう。
そしたら蓋を少しずらして蒸れないようにするのが2杯目も美味しく頂くコツです。

新茶なら3杯目も美味しいですので、いろいろ試してみてください。

温かいお茶だけではなく、水出しもお勧め!

そしてお勧めなのが水出し。

お茶パックにたっぷりの茶葉を摘めて麦茶などを作るポットに入れて一晩。

翌朝には甘味のきいたアイス緑茶のできあがりです。

これから寒くなってくる季節ですが、暑い時期にはオススメしたい一品です。

皆さんもいつも飲むお茶、その向こうにいる生産者や生産地のことを思い浮かべてもらえるとうれしいです。

富郷茶の主な取扱店

さいごに、今回紹介した富郷茶の取扱店をいくつかご紹介します。
お近くの際はぜひ、チェックしてみてください。

  • JAうま富郷出張所:四国中央市富郷町寒川山450
  • JAうまジャジャうま市:四国中央市中之庄町1684-4
  • JAうまおいでや市:四国中央市妻鳥町1121
  • フジ四国中央店:四国中央市妻鳥町1795-1

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